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雨の打つ音が好き

ナイツテイル感想

2021.10.31

 

ナイツテイルも残り40公演を切り(東京公演はあと10公演もない),少し終わりが見えてきた今日この頃 帝劇初日ではまだ七分袖でも平気だったのに今はすっかり上着が必要な季節になりましたね

最初は2枚しか持ってなかったチケットも,一度見るともう一度見たい…となり幕間にチケットを探したりしてどんどん増えていく

 

怖い

 

※正確な曲名は覚えていない

 

牢番の娘(フラヴィーナ)役 上白石萌音さん

萌音さん 萌音ちゃん 3年前の初日ではカテコで泣いていたのにすごく立派になられて…(3年前もすごかった)

とっても歌声が透き通っていたのと他プリンシパルと違って歌声が前というより上に飛ぶんだけれど,それは別に悪いことではなくて逆にフラヴィーナの特殊さが浮き彫りになるので良いなあと思う.一番歌声が耳に残って,道歩いてる時にも(ちょっとだけ泣いて ちょっとだけ死ぬ)って幻聴が聞こえてくるので助けて欲しい

あととってもダンスの時の表情がいい,目が大きいのと遠くからでもわかるほど顔を作ってくれるのでオペラグラスあんまり使わない派としては助かります.あそこの動きと表情の3段階変化は本当に極上.

帝劇結局全クール観劇してるんだけれど,期間中の進化も一番目覚ましい気がする.どんどんと歌声としゃべりの声の温度差がなくなっていって自然になっていく.休演日にテレビ出たり朝ドラもこなしているのにすごいなあ…働き者だよ…体に気をつけてね

一番好きなフレーズは2幕「悲劇の姫」(パラモンの手錠を見つけた後)の「救い〜出して〜」のところ

 

エミーリア役 音月桂さん

個人的に一番役から受ける印象が変わったのがエミーリア.前はちょっと高貴な姫感があってとっつきにくかったけれど,今回は1幕の冒頭のまだ少し決意が浅いというかなびきやすい感じからの,ヒポリタからの助言を得てどんどん凛とした雄姫様になっていく様子が分かりやすい.なのに1人の女の子のようにキャピっとした部分もあって惚れる.

歌唱アプローチを変えたとおっしゃってて(ラジオ自体は聞けずでした)去年のガラコンの動画を見るに地声でいくかどうかなのかな.今年は「妹よ」や「マルスとヴィーナス」とかトップの音をとっても張っててエミーリアの意志の強さを感じる.

あと一番コメディ要素を演技で入れてきてくれるのがエミーリア.セリフの言い方だったり動きの一つだったりと音月さんの表現のレンジが凄いなあと思う.リフト美しくて毎回こっちのコンビばかり見てしまう,許して.

全ての所作がとてもお美しい…流石宝塚トップスター….兵士の重荷でパラアサが上に登った時に手前に出てくるエミーリアのシルエットが美しすぎて忘れられない.

一番好きなフレーズは2幕「マルスとヴィーナス」のあの一回しか歌われない部分

 

パラモン役 井上芳雄さん

ひょえ〜〜体が大きいな…騎士物語の「作家の意図を〜」で描き描きする振りが好きなのに最近見れてなくて悲しい… エミーリアもなんだけれどめっちゃ客席見てくる,わぁ!目があっちゃったかも〜!!(ここはアイドルコンサート会場ではありません)

あったりまえだけど歌がうまい……ppからffまで全てが井上芳雄のコントロール下にある.プロの管楽器の人って息をまるでポンプのように楽器に吹き込むんだけれど完全にそれの人体ver.「悔やむ男」とかのデクレシェンドかけながらも響きだけは残る感じはそれができないと不可能な芸当.

歌もそうなんだけれど芝居もどんどん好きになってく.パラモンの幼稚さと純粋さがどんどん引き立っててほんと愛する馬鹿従兄弟…アーパラの台詞の掛け合いが小気味よくてずっと聞いていたくなる.

にしてもフラヴィーナとのサイズ感違いすぎて可愛さが反則.手を丸っと包み込んだり彼女の目線に屈んだりいちいち殺傷力が高い.

一番好きなセリフが「愛の盗人め」なんですけどこのセリフ最高すぎて日常使いしたい.LINEスタンプでも作ってくんない?

 

アーサイト役 光一さん

はあ〜超絶髪の毛綺麗,なにあのキューティクル,多分全キャストの中で一番髪の毛が綺麗だと思う(贔屓目線) 殺陣の時の刀を抜く動作がダイナミックで見栄えがいい.クルクルさせて軌道もゆったりと大きいのでカウントめいいっぱいまで刀が動いてて美しい.あとダンス上手いなって改めて思い知った.

個人的には転調の男,アーサイト.「これから兵を〜おこす」「ああ迫る友の身に危険が」(昇る太陽)「エミーリア〜」(フラヴィーナ).特に昇る太陽の転調からの鹿狩りへの一連の流れは毎回鳥肌が立ってしまう. 昇る太陽も君に乾杯の落ちパートもなんかすごく堂本光一濃度120%って感じ,焦燥感とかやるせなさ,抗いたいけど叶わない無力感とかを歌うと一際輝く.

あんな笑顔でおちゃらけた表情と動きが堂本光一の顔面に出るとは思ってなかったので新鮮な思いでいっぱい,ラッキボーイおちゃらけアーサイトちゃん…

10/25から贈り物でガッツポーズしてるの,当時のアーサイトの心境考えるとガッツポーズしたくなるよなあ.ウインクしてっていうジョンからのノートに対する答えの一つなのかなと思った.

一番好きなフレーズは昇る太陽の「ああ迫る友の身に危険が」 ここ好き

 

ナイツテイル,芝居がどんどん変化していくから何度も見たくなるんだけれど,そうさせるのは芝居以上に音楽がいいからだと思う.

アンダースコアがすごくてね.どのシーンのどのセリフでなにが演奏されているのか一覧が欲しいくらい.そしてよくモチーフになる曲はどれも耳に残りやすい.

 

歌われる楽曲どれも何もかも好きだけれど,一つあげるとしたら1幕の「3人の王妃」かな

特に2回目の3人の王妃+エミーリア+ヒポリタ版でリズム楽器が参加してるverが好き.

6回くらい観てるけど毎回この部分では鳥肌が立って泣きそうになってしまう.水野さん,折井さん,七瀬さんのハーモニーを聴きに帝劇に行ってると言っても過言ではない.

 

私自身がミュージカルに馴染みがない(ただし抵抗感は全くない)人間だからだと思うんだけれど,ミュージカルって楽しいなあと思わせるような作品だった.

大元は変わらないシンプルなセット.盆の回転と花や木,ベット,樽くらいの小道具しか使わないから”大掛かり”ではないんだけれど,だからこそミュージカルらしさを感じるというか.

見せたい背景・光景を100%もので表す必要なんてなくて,30%くらいしか物で示さなくても世界は描ける.アンサンブルの動きと観客の想像力で"実際のものを使う100%"以上の150%くらいを観客の一人一人の頭の中に描ける.

 

プリンシパルが歌っている間に盆が回転してアンサンブルが花を植えていくとか,すごく動線が綺麗なところも好き.動線を見せるところや開演から閉演まで暗転がないところ,そして舞台上にも上手下手の階段にも"観客"がいる.

私をナイツテイル狂にさせたのはこれなんじゃないかな

幕という物理的な隔たりがない.舞台の上には観客がいて,そして観客にたくさんの想像の余地が与えられている.舞台と観客が精神的に遠くなくてすごく世界観に潜り込める,まるで自分もあそこに座っている"観客"のひとりなのではないかと思う不思議.舞台って面白いなあ.

 

思えば母に聞くに私はよく歌い踊る子だったらしく,今でも割と練習後に口ずさんだり,家に誰もいないとその場で適当に歌い出したりとミュージカルが好きな要素しかないんじゃないか?もし10歳くらいにナイツテイルに出会ってたらミュージカル女優になりたい!って言ってたかもしれないし,ミュージカルいいなあ〜出たいなあ〜と今でも思っちゃうよね.

萌音ちゃんよりも若いんだけど今から目指してみていけない?(行けない)

いいなあ,音楽に関わる人生.

 

ところで上の牢獄に囚われている時(外を見ているのがアーサイト!の直前まで),完全にアーサイトとパラモンではなくて光一さんと芳雄さんのお喋りだよね笑,2人ともその時だけ表情が素になってる笑

 

細かい好きなポイントはTwitterのほうに書いたから後でちょこちょこ付け足そうかな.

 

・鹿狩り,牡鹿が先に雌鹿をにがすように動いているのが長として好き

・アーサイトが馬から降りるときに尻をペチンして頷いて見送っているのが紳士的

・それを見てるエミーリアの馬の動きが可憐

・森でパラモンと逃亡するフラヴィーナがの先導の仕方が必死でとっても心がこもってる

もっとあるけど