もち

さよなら3月またきて4月

雨の打つ音が好き

ナイツテイル一幕感想

 改めて思うよナイツテイル、なんてやばい舞台だったんだ。

 私が光一さんのファンでなかったらこの舞台を知らずにミュージカルというものを認識していたんだなあと思うと恐ろしい。ミュージカルって楽しい、人が一人一人積み上げて今まさに生み出している総合芸術なんだと感じる。

 初演も見てたんだけどその時の感想どこにも残してなかったから今回こそはツラツラ残します。相変わらず考察とか役の解釈とかは苦手。できることならばもう一度同じキャストで見たいです、再演頼むぜ東宝さん。今回はなかなか正直に書いてる。そしたら長くなった。

 

開演アナウンス

 岸さんによる開演アナウンス、私は帝劇ver2(帝劇二日目から)しか聞いたことないんだけど、とってもお茶目というか笑いに振り切ってて笑った。何気にこの開演アナウンスの役割は結構大きいかもしれない。正直初演時にあまりナイツが刺さらなかった理由、話の方向性みたいなものが見えなかったからみたいな気がしていて、単純な話どこまでシリアスに振ってるのかコミカルに振ってるのか分からなかったからだと思う。最後は日本人の価値観にはあまりない神様が降りてきてハッピーエンドだったし。

 今回は中身も開演アナウンスからも「これは喜劇ですぞ!」ということが読み取れたのでスッキリした。

 

Overture

 一発目が狩猟(鹿狩りの時の音楽)なのが天才。(正しくは狩猟の中の昇る太陽モチーフ部分)再演初見時から「あっこれ森のシーンでの音楽だ!」と気付いたのでやっぱり良い音楽というものは記憶に残る。音に合わせて客電が徐々に消されていくので徐々に物語に吸い込まれる。劇場という空間が愛おしい。

 Overtureという概念が天才なところはある。一回目はめくるめく曲に引き込まれるし、2回目からはシーンごとのフラッシュバックが起こるのでみんな幸せOverture。「アテナ平和を〜」の曲とか毎回鳥肌立っちゃうもん。

 

騎士物語

 この曲を聞くたびにナイツテイルを見に来たんだなあと思うし入れ子構造の主たるもの。イントロの笛の音の清涼感があっていいよね。和楽器のおかげでちょっと日本昔ばなし味も出てきてこのミュージカルは日本産なんだなと思う。

 ヒポリタとシーシアスが戦っているときの両サイドに立つ狛犬番犬パラアーが好きだった。

 クリオンが出てきた時にホーンがバァンって吹き上げるのが印象的、もう一回クリオンが出てきた時も同じことをしてたのでこれはクリオンの音なんだと思う。アーサイトは本当に殺陣が綺麗だね、重心が下めなんだけどヒラリヒラリと躍動感があっていい。クリオンがぶち殺した後に短調になるのとってもミュージカル。転調効果とこの曲の話はもう一回ある。主題曲は転調してナンボよナンボ。

 「今宵我々を信じてどうか それなしではとても最後にたどり着けない 義務ではないが君はもう話の中さ」

の「義務ではないが」が好き。義務と言われても私は大腕振って話の中に入っていくけれど、なんたってこの舞台は観客も一緒に描いていい舞台だし?そう言われるのが嬉しいね。

 

3人の王妃の哀歌

 この曲については死ぬほど語ってる気がする。

 3人だから3拍子、そこに循環する人同士の動きと1小節を表す腕の動き。視覚でも音を表す人たちが好きだけれど、これぞダンスミュージカル(ダンスがメインというわけではない)だった。音を動きで表現するのは何よりもの媚薬だよ。興奮するもん。

 王妃たちの「夫殺され 遺体を捨てられ」で毎回我々は遺体を捨てられた砂なのかあ…とひとりツッコミしていた。

 話的には女(3人の王妃、エミーリア、ヒポリタ)が「怒りの裁きを下して 剣を手に清めよ」とシーシアスに戦いを乞うている。ヒポリタは王妃たちにあなたたちの主張が正しい(けれど囚われの身なので協力できない)と言ってるしエミーリアは「感じる痛み 女の弱み 心背けはしない」とシーシアスに訴えている。それに対してシーシアスは復讐にとろける心に注意をもて、戦争になるからと拒む。結局ヒポリタと取引(?)をしてクリオンに戦いを挑むことになるけれど。

 

兵士の重荷

 パラアーが出てくる時のブラスメインの曲、実は3人の王妃のアレンジなんだよ??(テーベーさあ、この王妃たちの、嘆きを救う?、あなただけ〜の部分)前のシーンの歌をベースに繋ぎの音にするのって理解の外の領域でなんか作用するんだろうな、シームレスさとかそういう点でも。やはり音楽って素晴らしい(??)説明のつかないところから多分見ている側を揺さぶるところがあるし、我々はそれに気付かないんだ、ブラッドは天才(知ってた)

 11/4で剣が額にあたっちゃったパラモン「上っ面の傷で済んだ」がダブルミーニングになってしまったのがいい、ハプニングウマウマ……

 弱気ものを守るのがテーベの兵士の役目でこの国のためなら命を捧げる、けれどクリオンはおかしいだろ、あいつは消えるべきだ、奴の側について得られた勝利にはなんの意味もない、というのは2人の共通認識。

「ジューノ、正義を くたびれ果てた ジューノ、力をください 名誉の 〜とかお導きを 捧げよ この俺を」

と2人はテーベを滅したジューノ(ユーノー)に同じようにクリオンの粛清を願うのに「神々は沈黙しているパラモン」とアーサイトはバッサリ、対してパラモンは「だが俺たちだけで運命を決められるか?」と惑う。

 シーシアスが追ってきていることに対しても「テーベのことを思い出せ、女や子供達のことを」「戦うとしてもこの手だ 心ではない」と剣をとるアーサイトに対して「暴君のことを思い出せ」「剣あげられるか、それは正義じゃない」とパラモンはどっちつかずな返答をする。

 パラアーとしての台詞のシーンはなんだかんだでこれが最初なんだけれど、ここからしてもう性格の違いを描いている。

フラヴィーナ

 エミーリアがフラヴィーナの話をし始める時のアンダースコアが「悲劇の姫」なんですが……ウッウッウッ……エミーリアとフラヴィーナはどんなに離れていてもつながっているんだよ……アンダースコアがつないでいるんだ…つまりアンダースコアが全てを知っているということ。

にしてもド単純に曲が良すぎるしこの曲ぶっちゃけ騎士物語よりも歌われている気がするけど、ナイツテイルという話がそもそもフラヴィーナがいないと進まないのでそりゃそうなのかもしれない。

殺陣

太鼓ドコドコ

 三味線と笛が入るだけで重厚感というよりも清涼感がメインになるのでやっぱり耳からくる演出って大きいよなと思う次第。やっぱり光一さんは殺陣すごく上手いなあ、動きの緩急がしっかりしていて剣の先がピタッと静止しているのに加えて、例えば抜いて構える動作とか払う動作とかでも劇伴の拍にあってる。これはSHOCK見てる時には気づかなかった、まあ使ってる曲のジャンルが違うからだと思うけど。

 

3人の王妃

 クリオンを倒したファンファーレの続きからなので金管楽器と弦楽器が入ってピアノの左手が消えて重厚感よりもなんか良い感じになっている(ただしクリオンは死んでいる)

絶妙に「ありがとう」という歌詞だけダサくない……?と思ってしまう…ごめん…なんかそこだけ現代日本語すぎて違和感が

ここで横たわるアーサイトの腰のくびれがとんでもなくえっち、回を経るごとにパラモンの呻きが死に絶えそうになっていた。

騎士物語

 正直この騎士物語が一番好きかもしれない

シーシアスに捕まったパラアーとシーシアスの「騎士の挫折だ 受ける打撃を」「自由のままにしておくよりは〜 2人の死を願う」がファ♯ララシーラ

「だが死を願うよりも捕虜にしたい気持ちはその数倍!」 はファラ♭ラ♭シ♭ーラ♭

「時が流れ戦争は絶えて でも彼らの祈りは届かない〜」はソシ♭シ♭ドーシ♭

と半音ずつ上がっていくし(ソルフェージュ無理女なので調は分からん)

 アンサンブルが歌と動きで牢番と娘を紹介するし、このセクションだけでとても話と時間が動くのに暗転もないしセットも変わりやしない

 舞台は何もかもを観客の目の前で繰り広げないといけないけれど、それをうまく使って隠すことなくシーンや場面が入れ替わるのでジョンケアードは天才(知ってた)

「寂莫の中で時にハモったり」「償ったり」が可愛い、合いの手っていいよね、ところでもう戦争は終わってるんですって、君たちが牢屋の中にいる間に()

牢番の娘の嘆き

フラヴィーナ、君が主人公だよ……

 まあ話的にフラヴィーナがいないとあのような結末は迎えなかったのでそりゃそうなんだけど、パラアーが基本2人行動していて対になっているのに対して、ずっと牢獄にいるフラヴィーナは基本ひとりで歌い踊るもんねという若干メタ思考

「彼を愛せずにいられない でもその視線は私を通り抜ける 耐えられないから」

「ちょっとだけ泣いて ちょっとだけ死ぬ 仕方ない」

 

 ナイツテイル後の人間100人中100人が「ちょっとだけ泣いてちょっとだけ死ぬ」って歌えると思う、とんでもないキャッチーモンスター曲。一番ではパラモンが好きだけどそれは叶わないことを嘆いていて、二番では今の自分の現状に対して絶望するって歌っているの………「絶望する」の部分からぐわっとクレシェンドかけてハイトーンの声がズバッと通っている。上白石萌音さん………歌がうめえ……恐ろしいほど歌声が綺麗………

囚人の歌

 囚人の歌とかいうくせにとんでもハッピー曲、シャンシャンかわゆい…「だ れ も」とかアーサイトもパラモンも動作がかわゆくて2人で歌い踊るのが楽しい〜!ってしてる、ここは動物園か??パラアーは本当にセリフも歌の最中の掛け合いもテンポが心地い良いね…従兄弟だからね 

フラヴィーナ

 再演でエミーリアが超コミカルにシフトしてて笑ったシーン、「見られている」の足に男役の名残を感じてしまう、でもこれこそがエミーリアの強さを表していて好き。

 エミーリアを発見したのはパラモンが先なのに先に歌に参加しているアーサイトがちゃっかりちゃんすぎる。フィロストレイトの流れとかもそうだけどアーサイトはちゃっかりしててラッキーボーイ。

囚人の歌

 ここのスピード感半端なくて好き。これを可能にしているのが盆舞台、VIVA盆舞台。「俺が先に見た」「愛してはならん」というパラモンに対してアーサイトは2人で愛せると答えるんだなあ。

 枕またに挟んでゴロゴロするアーサイトちゃん完全にネコチャンだったのでおうちに一つホシイナー。ここ台詞まわしが本当にスピーディーだしアクションも多いからしっちゃかめっちゃかで濃ゆい。牢獄の壁を飛び越えるさ!っていうアーサイトが日に日に高くなってて舞台から落ちそうで怖かった()帝劇最後の方はパラモンが素で「危ない」って腕出してました()シャンシャンシャンシャン💢なのマジで笑う。アーサイトとかクッソ姿勢悪くて😡ってなってるしパラモンもそう、感情のりまくりで観ててめちゃくちゃ楽しいけれども笑

 「俺の手で姫の……ためにっ!」で首に手錠かけてクレシェンドしたり「兄弟お前もか〜」の1-3のハモも良〜。1回目の達者でなの言い方が回を経るごとに「タッシャデナ…」ってなってたのも草

兵を起こす

 急にシリアスになるじゃん……そうだこの人たち歌がうまくて踊りがうまい騎士だったんだ……戯れてるワンコではなく……パラモンの「正直はバカを見るぞ」がとってもくる、なんだろう音程?コードからちょっと外れるというか最後の「ぞ」が曲全体で見るとアンバランスで不安定な感じがしてここにパラモンの気持ちが込められているというか?考えすぎか?音楽に明るくないので分からないけどなんかそんな感じ♪

 アーサイトの1回目の転調のお仕事がこの曲、一度元の調で歌って「兵を起こす〜」の時には転調しているんだけれど、この調の違いが2人の現状の違いを示していると僕は思う。音楽と芝居の相互作用ってあるよねVIVA総合芸術ミュージカル万斉。「俺の方がぁ」の「ぁ」に100億ポイントあげたい(誰目線?)

カントリーダンス・リハーサル

 お着替えするときに階段の人に向けて🤫ってするアーサイトが可愛すぎて震える。正直スカーフ指して「田舎者」には?だったけど、スカートたくしあげるのはガチでダサくて田舎者だった。骨格と重心って大事だね

 フィロストレイトは重心を上めに楽しそうに踊るね。

贈り物

 アーサイトの頭の中では女性がエールを送ってるんだなあと思うとなんて本当にポジティブな自信過剰男なんだ……せめてその一部でもパラモンにあげてやれよと思う。曲からしてがなったりバンドスタイルに近くてスカーーーンとしてる、快晴の男だなアーサイト。

 ところで光一さんだから普通に見てたけど、ほぼ何も置いていない帝劇(端っこにちょっと木があるだけ)を1人だけで踊りながら歌うってちょっとやばいなあ。普通に見てたけどそもそもシーンが続いてダンスシーン後であの運動量の曲が続くのを平然としてやっているの超人なのかもしれない。改めてすごいな。それもその前は華やかなダンスシーンなのでステージとしては同系統だから余計人数差と画角の落差が明確になるのに。

 10/25からウインクの成功にかかわらずガッツポーズをして自信満々にはけていくのが好き。運試しに勝ってこれからエミーリアの元に行くんだもんね、そりゃガッツポーズするよ。パラモンはこんなにも牢屋の中で沈んているのに君ときたら…

牢番の娘の嘆き

 11月に入ってからパラモンが「優しいご婦人…?」と疑問系にし出したのがとっても良い変化だと思う。個人的に帝劇1ヶ月みて芝居に一番変化を感じたのが芳雄さんだった。パラモンとフラヴィーナの間に緩やかに流れる時間、愛を育む時間はここだけ…… 私が2人いたなら家でこの歌歌ってますわ。分裂したいなあ……

 歌の間に挟まれるパラモンのセリフのリズムと語調がとってもいい。俺は枯れ木も同然…のやつ。これに限らず芳雄さんは長セリフの時の台詞回しにグルーヴがあってとんでもなく上手い。そしてそれが私のようなミュージカル初心者にも心地いんだから多分全人類のDNAにシェイクスピアが流れてるんだと思う。

 芳雄さん歌がうめえ……あなたが上歌うんですか……ドバーッとサーフィンの波みたいに歌声が襲って来る、歌がうめえ…パラモンはアーサイトの真似してエミーリアエミーリアいうのではなくて早くフラヴィーナをみてあげてくれ

カントリーダンス

 10/18かな、光一さんってダンスが上手いんだなあと実感したのがここ。飛び上がった時に飛びすぎてリズムと合わなくなったんだけど、空中で肘を曲げる角度でリズムをキープしてた。それみて泣いた。なんかやばいすごい技術が働いててちょっとその片鱗を見ることができた気がする。

 光一さんのダンスって舞台のステージ上で踊ることの多い人のダンスだからどれだけ綺麗に見せられるか、そこにどれだけ情念をのせられるかが指標だったので美しいとか切ないとかそういう感情を抱かせるものが多くて、今まで上手いという感想を真っ先に持つことはなかった。あの、アレ、今更モナリザの絵に対して「上手い絵だな〜」とは思わんでしょ?って話。色んな技術が複合されてできた完成品が出てきてるので逆に上手いって思わないって話。だけど今回このミスによって調和が乱れて逆に(今まで普通にみてきたものがこういう技術によって成されてたんだなあ)(そしてその技術が一見分からないように隠されていたんだなあ)と気づいたのですごく良い体験になった。ちなみにジャンプから着地したらすぐにいつもの綺麗なダンスに戻ってました。

 他の堂本光一を知らない人に見てもらったときに「このシーンでの俺が俺がアピールがすごい、気を引くように踊ってる、これがジャニーズとダンサーの違い?」って言われたんだけど、多分それ役だからなんだよなあと思う。歌でも踊りでも必ず役でいるのが舞台だから、やっぱ舞台って面白い。ただそれとは別に光一さん本人のダンスも見たいから今年はソロコンあって満足でした。

妹よ

 アーサイトのセリフ終わりからシーシアスたちのセリフに被るように流れるイントロ、っていう構造が天才。まるでドラマの最終回のエンディングみたいなカット。「世間知らず我が妹よ」って言われた時のエミーリアが「は??」という表情をしているところに彼女はトロフィーのようなお姫様ではない、1人の女性として生きている人なんだというのを感じる。

 この曲を1ヶ月歌い通した音月さんはすごい、本当にすごい。ところでエミーリアの若さに釣られて20代後半みたいに思えるんだけど音月さん自身は座長ズの一個下なんだよね……音月さん演技もすごいや……

昇る太陽 part1

 「理由は考えられるすべての理由を超えている」「どういうことだ?」は笑っていいのかダメなのかmy楽になっても分からなかったんだけどどっちなんですか、教えてジョンケアード

 「君の名前を知らなかった!」「…………フラヴィーナ、それがあなたの召使いの名前」でフラヴィーナが流れるのほんともう〜〜!!!!!アンダースコアが全てを語ってるから本当どこでどれを流していたのか教えてくださいそれだけで救われる命があるんです。

 パラモンから心配の声をかけられても愛のため愛する人のために全てを投げ出して奔走するフラヴィーナ。同じように名前を明かした時に流れる劇伴の方のフラヴィーナもすぐに昇る太陽に変わってしまう。あまりにも夢のような一瞬で切なすぎる。

やっと初めて彼から名前を聞いてくれたのに、彼の視界に自分が映ったのに、自らその場から去らなければならない。全てを投げ打っているのに、一緒にいられた時間はフラヴィーナ1フレーズにも満たない。これよりもエミーリアが「牢屋から見られてるんだけどあの男たち顔がいい……」って言っている時間の方が長い、なんてこった、あまりにも短すぎる、ああ無情。もう止まることも戻ることもできないんだ彼女は、罪を犯してしまったから。

 ここで盆舞台に逆らってフラヴィーナがパラモンに背を向けて歩み始めるのが全て。愛されないと恐れはしても今の人生を捨ててしまうという壮絶な覚悟に「盆舞台に逆う」動きが拍車をかけている。ああ、好き。

 

 そしてあの、昇る太陽が名曲すぎる。なんで名曲なんだと思う?凄すぎて音楽的構造が知りたい、なんでこんなにいい曲なんだ?

 フラヴィーナ→パラモンとアーサイト→エミーリアの歌い繋ぎが最後だけ3拍子になるのは多分あっていると思う……でもそれ以上がわからんのです、フラヴィーナのパラモンパートにかぶる最後の伸ばしの音とかなんかもうやばい音になってるよね??なんでどっからそのミ(多分)出てきたんだろう、その伸ばしだけで一気に不穏になるので音選びが天才……拍子もそうだけどritとかもふんだんにあって語るように歌っていて。

 これが1幕の終盤にあるのがやばいよナイツテイル、えぐい隠し球じゃないですかこんなん。その時歴史が動いたじゃないけれど、これからが勝負どころ、関ヶ原の陣が開幕しそうなのが音楽だけでわかる。やばい曲なのになんでやばいのかわからないのが悔しい。あとここでも転調の男アーサイト。

昇る太陽 part2

 舞台上に4人だけだった昇る太陽part1から一転、ペンセアスからの一報で事態は急展開に。この時アーサイトはパラモンの脱獄を知って驚愕しシーシアスが捕らえようとしていることに危機感を募らせ、エミーリアはそんなアーサイトの動揺から企みがあるのかと勘ぐり始める。パラモンはさんざしの茂みに隠れ、フラヴィーナは彼のためにヤスリと食べ物を準備して向かおうとしている。

 4人がとうとう一つのステージ上に会し、それぞれが違う場所で同じ朝日を見ながら違う想いを胸に抱きながら行動を起こし始める。昇る朝日に引き寄せられるように彼らは運命に引き寄せられ、まさにすべての歯車が噛み合って動き始め、もう止められない。今、夜が明ける。

ということを昇る太陽part2が言っている

 ああ〜やばすぎる、やばすぎる、歌と演出と脚本の相乗効果、これが総合芸術ミュージカル、もう何もいうことができない語彙力なさすぎて。

 畳み掛けるようにアンサンブルがセリフを重ねつつ、どんどんオケが低音を出してきて分厚くなってからの「あぁ…迫る友の身に危険が」(アーサイト)には毎回グッときてたし、ここでぐるっと後ろを向いていた体を前に向けて歌い出すときに指揮の左手がキューを出しているのが重なってやばい。あと光一さんの苦悶の歌声は似合う……

 その後の「昇る太陽呼んでいる 超えたい自分の弱さを 朝日が眩しい」のハーモニーは絶品だし、ここから狩猟(昇る太陽モチーフ部分)に移る時にオケが爆発するのに毎回鳥肌立ってた。

狩猟

 ここから台詞なしの動きと音楽と掛け声だけですべてが表現される時間になる。これができるキャストがすごい。馬がいるんだよ、鹿がいるんだよ。すごいよね。アンサンブルさんがとっても素敵な舞台ってこういう場面がすごく映えるんだなとわかったし全員が上手くないとこういうシーンは生み出せない。ぶっちゃけナイツテイル全シーンで狩猟が一番好きです。

 鹿、鹿があまりにもすごい。動きだけではなくて顔が鹿だし、雌鹿を先に逃がそうと牡鹿がシーシアスを蹴散らしているのに群れの長としての責務を感じて感動する、ここは完全に鹿としてしか見えていない。

 あと一回騎士物語のメロディが挟まるのがどう足掻いても盛り上がらざるを得ない。この時のピアノが綺麗でね……。別れ際に鹿に手を振るパラモンや馬から降りてちゃんとケツ叩いて見送っているアーサイト、そのアーサイトについていこうと馬を引き止めるエミーリアとか芝居が細かい。そしてその馬も演者一人一人がやっているのにちゃんと群としての馬とそれぞれの騎手が板の上に存在しているのがすごい。余談だけど兵をおこすとか森の歌のメロディも入ってるよね。

 

 「兄弟ッ!!」「きょうだい?!」で1幕が終わるのも良い。言い方の差分はそうだし何よりもここまでずっと歌と動きで魅せられてきたのでこの二つの台詞がとても映える。加えて、アーサイトとパラモンがシーシアスに見つかる前に再会した!これからどうなるの?!という状況で幕間に入る。

 そしてこれが初めての暗転という怖さ。すごくない?今まで場所や人物がどんどん入れ替わってたのに一度も暗転がないんですよこの舞台。セットとかも全部人が運んでて機械の動きが見えないところとか好き。生を感じる。3年前の初見時はストーリー知らないのもあってこれからどうストーリーが展開されるかわからなくて緊張のあまり一度も席立たなかった記憶がある。エコノミー症候群になるから席は立った方がいい。

 

二幕分も書きたい!!資料を下さい!!